第1章 不動産売却の基本的な流れ|全体の流れを把握しよう
不動産売却は、一般的に以下のような流れで進みます。全体像を理解することで、現在どの段階にいるのかがわかり、安心してプロセスを進められます。
順番 | ステップ | 期間の目安 | 主要内容 |
Step 1 | 売却の準備と情報収集 | 1~3ヶ月 | 市場調査、税金の概算、業者選定 |
Step 2 | 複数の業者に依頼して査定比較 | 2~3週間 | 3~5社から無料査定を受け相場を把握 |
Step 3 | 媒介契約の締結 | - | 専任専属媒介または一般媒介契約を締結 |
Step 4 | 買主の募集・内覧 | 1~6ヶ月 | 広告出稿、買主への内覧対応 |
Step 5 | 売買契約の締結 | - | 買主が決定し、重要事項説明後に契約 |
Step 6 | 金融機関へのローン申請 | 1~2ヶ月 | 買主がローンの審査を受ける |
Step 7 | 決済(クロージング) | - | 金銭と権利の交換、残債がある場合は返済 |
Step 8 | 譲渡所得税の申告と納税 | 翌年3月15日まで | 確定申告で譲渡所得税を納付 |
売却の準備・情報収集期:ご自身の不動産の特性(立地、広さ、築年数など)を理解し、市場相場をリサーチします。同時に、後述する税金の概算も行います。
不動産会社選定・査定依頼:複数(3〜5社が目安)の不動産会社に無料査定を依頼し、市場価値(実勢価格)を把握します。
媒介契約の締結:依頼する不動産会社を決め、「専任専属媒介契約」または「一般媒介契約」を結びます。売却希望価格や仲介手数料などを明確にします。
買主の募集・内覧:不動産会社がポータルサイトや自社媒体で物件を広告します。買い手が見つかると内覧が行われます。
売買契約の締結:買主が決まると、「重要事項説明」が宅地建物取引士によって行われ、問題がなければ売買契約を締結します。手付金が支払われます。
金融機関でのローン手続き:買主がローンを利用する場合、審査が必要です。審査が通らないと契約は白紙戻りとなる可能性があります。
決済(クロージング):売主は登記に必要な書類を準備し、買主は残代金を支払います。司法書士立会いの下、所有権移転登記を行い、鍵の引渡しを行います。
税金の申告と納付:売却した翌年、確定申告期間中に譲渡所得税の申告と納税を行います。
第2章 売却前に必ず確認すべき4つの重要ポイント
1. 市場相場の正しい理解
「購入時の価格」や「近所の噂」ではなく、客観的なデータに基づいて価格を判断することが大切です。実勢価格(実際に成交した価格)を調べるには、複数の不動産会社の査定を比較するのが最も有効です。
2. 譲渡所得税の計算と対策
売却で利益(譲渡益) が出た場合、必ず納めなければならない税金です。所有期間で税率が大きく異なります。
所有期間 | 税率 | 内訳 |
5年超(長期譲渡) | 約20% | 所得税 15% + 住民税 5% |
5年以下(短期譲渡) | 約39% | 所得税 30% + 住民税 9% |
復興特別所得税が別途かかる場合があります。
所有期間は1月1日基準で計算されます。
✓ 税金対策のポイント
3000万円の特別控除:売主様自身が住んでいる家屋を売る場合、一定の条件を満たせば譲渡益から最大3000万円を控除できます。
取得費の圧縮:購入時の契約書や領収書を整理し、取得費(購入価格+諸経費)を明確にすることで、課税対象となる譲渡益を圧縮できます。
居住用財産を売ったときの軽減税率の特例:所有期間が10年超の居住用財産は、譲渡益に対する税率が軽減されます。
3. 諸費用の把握
売却には様々な費用がかかります。これらを差し引いた金額がご自身の手元に残る金額です。
仲介手数料:売却価格の3% + 6万円 + 消費税が法律上の上限です。
ローン残債の精算:売却代金から優先的に返済します。
司法書士報酬:登記手続きの代行費用(数万円〜十数万円)。
印紙代:売買契約書に貼る印紙(金額により異なる)。
測量費、整地費など(必要な場合)。
4. 不動産会社の選定
「どこに依頼するか」で売却スピードや価格は大きく変わります。
複数社査定は必須です。
地域に密着した実績があるか。
提案内容やコミュニケーションが誠実か。
宅地建物取引士が在籍しているか。
第3章 よくある質問Q&A
Q1. 売却にかかる期間はどれくらいですか?
A. 査定から決済まで、平均して3〜6ヶ月程度が見込まれます。市場状況や物件の条件、買主のローン審査などにより前後します。
Q2. 現在住んでいる家を売却する場合、引越しのタイミングは?
A. 売買契約後、決済日(引き渡し日)までに引越しを済ませるのが一般的です。決済日は契約時に双方で合意して決めます。
Q3. 売却価格に不満があります。値下げすべきですか?
A. 買い手の反応が全くない状態が長く続く(数ヶ月)場合は、市場が期待する価格とずれている可能性があります。不動産会社とよく相談の上、タイミングを見て値下げを検討することも重要です。
Q4. 売却の相談は無料ですか?査定は?
A. ほとんどの不動産会社における売却相談と査定は無料で行われています。ただし、実際に媒介契約を結び、売買が成立した場合には仲介手数料が発生します。
Q5. 空き家になっている実家を相続しました。売却できますか?
A. 可能です。ただし、相続登記(名義変更)を先に済ませておく必要があります。また、空き家の状態によっては、修繕や片付けが必要になる場合もあります。相続人全員の同意も必要です。
第4章 成功事例紹介|東京都品川区 築25年マンション売却
【物件概要】
所在地:東京都品川区
物件種類:鉄筋コンクリート造マンション(築25年)
専有面積:65m²(3LDK)
売主状況:相続した空き家
当初の悩み:築年数が古く、リフォームが必要ではないかと心配。相続人間での調整も必要。
【成功のポイント】
徹底した事前準備:不要なものを処分し、軽微な修繕(水周りのコーキング補修、壁紙の張り替え)を行うことで、物件の印象を大幅に改善。
適切な価格設定:5社の無料査定を比較し、過去の成交事例を元に、買い手が購入しやすい適正価格で設定。高すぎず低すぎない価格が早期成約につながりました。
税金対策のアドバイス:相続税評価額と売却価格の関係、取得費の計算方法について税理士と連携したアドバイスを行い、売主様の納税負担を軽減する提案ができました。
【売却結果】
売却期間:媒介契約締結から約2ヶ月で成約
売却価格:査定額のほぼ希望価格で売却が成立
売主様の声:「古いマンションだからと諦めていましたが、小さな手入れと適切な価格設定の重要性がわかりました。税金の面でも助かりました。」
まとめ:成功のカギは「知識」と「準備」と「パートナー選び」
不動産売却は、資産を手放すという行為であると同時に、新たな生活への投資でもあります。感情だけで動くのではなく、客観的なデータと知識を身につけ、適切な準備をし、信頼できる不動産のプロパートナーを見つけることが、満足いく結果への最短ルートです。
まずは、第一歩として、お気軽に信頼できる不動産会社に無料査定を依頼し、今のご自身の資産価値を知ることから始めてみてはいかがでしょうか。
免責事項:本記事でご紹介した内容は、2024年時点の一般的な情報に基づくものです。税金・法令等は変更される場合があります。実際の売却においては、必ず専門家(宅地建物取引士・税理士・司法書士)にご相談ください。