第1章 家族葬とは?一般葬との違いを徹底比較
「家族葬」には厳密な定義はありませんが、一般的には親族を中心に、故人と特に親しかったごく限られた人々のみで執り行う葬儀を指します。規模が小さいため、費用を抑え、遺族の負担を軽減できるという利点があります。
一方、「一般葬」は故人の知人・友人・会社関係者など、広く参列者を募る形式です。では、具体的に何が違うのでしょうか。以下の表で比較してみましょう。
比較項目 |
家族葬 |
一般葬(本葬) |
参列者の範囲 |
親族、ごく親しい友人・知人 |
故人に関わる広範な関係者(取引先、地域の方など) |
規模 |
小規模(10名~50名程度が目安) |
大規模(100名以上になることも) |
費用相場 |
〜〜万円前後(内容により大きく異なります) |
〜〜万円以上(規模により高額になる傾向) |
開催場所 |
自宅、小さな葬儀式場、直葬プランもあり |
大きな式場、寺院の本堂など |
特徴 |
・遺族の精神的・物理的負担が比較的少ない |
・社会的な儀礼としての側面が強い |
※注意点: 家族葬と一口に言っても、葬儀社が提供するプランは多種多様です。内容と費用は必ず見積もりを取得し、詳細を確認することが不可欠です。
第2章 家族葬を行うための具体的なステップ(準備から当日まで)
突然の出来事でも、やるべきことは多くあります。以下の流れを参考に、一つずつ着実に進めましょう。
1. 死亡直後の手配
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医師による死亡診断書の交付を受けます。
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すぐに連絡を取れる親族を集め、葬儀の形式(家族葬にするかなど)を話し合います。
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信頼できる葬儀社に連絡し、相談を開始します。複数社から見積もりを取ることをお勧めします。
2. 葬儀社との打ち合わせ
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葬儀の規模・予算:参列者数、会場の大きさ、必要なサービスを決め、予算を設定します。
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日程と会場:通夜・告別式の日時と場所を決定します。
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必要な手配:僧侶(寺院)の手配、棺や花などの選定、遺影写真の準備などを進めます。
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喪主・役割の決定:喪主をはじめ、受付や香典返しの担当などを決めます。
3. 連絡・準備
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参列してほしい方に、日程と場所を連絡します。この際、「家族葬のためごく身内のみで執り行います」と断りを入れることが一般的です。
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会場設営、案内状・芳名録の準備を行います。
4. 通夜・告別式の実施
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通夜:身内で故人を偲び、一夜を過ごす儀式です。近年は「通夜ふるまい」を省略するケースも増えています。
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告別式:参列者一同で故人と最後のお別れをする本式です。式の後、出棺・火葬場へ向かう「出棺式」を行います。
5. 火葬・納骨
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火葬許可証を得て、火葬場で火葬を行います。骨上げの後、遺骨は一旦自宅に持ち帰ります。
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納骨は、四十九日法要を目安に、墓地や納骨堂に行うことが一般的です。
第3章 気になる費用の内訳と賢い計画の立て方
葬儀費用は選択するサービスによって大きく変動します。以下の表は主な費用項目の一例です。
費用項目 |
備考 |
葬儀式場使用料 |
式場によって異なる。平日/休日、時間帯で変動 |
僧侶(読経)お布施 |
宗派や地域による。お車代・御膳料も別途必要な場合あり |
棺 |
木製、布製、紙製など素材により価格が異なる |
祭壇・装花 |
大きさや花の量により価格が異なる。シンプルなものも可 |
返礼品(香典返し) |
参列者数により総額が決まる |
飲食料 |
通夜ふるまい、告別式後の食事会など |
霊柩車 |
距離により変動 |
火葬料 |
火葬場使用料、スタッフ費用など |
その他 |
死装束、遺影写真、雑費など |
費用を計画するポイント:
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予算の上限を決める:まずは総予算を決め、その範囲内でサービスを選びましょう。
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葬儀社のプランを比較する:「お任せプラン」だけでなく、必要な項目だけを組み合わせる「オーダーメイドプラン」も検討しましょう。
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不明点は必ず確認する:見積もりに含まれていない費用(水引きや名札などの小物類)がないか、必ず質問しましょう。
第4章 よくある質問Q&A
Q1: 家族葬の場合、会社の関係者にはどのように伝えればいいですか?
A1: 訃報の連絡とともに、「偲ぶ会は身内のみで執り行うことになりました」と、丁寧に伝えましょう。後日、お別れの会や報告会を設けるケースもあります。メールや文書で簡潔に伝えることが増えています。
Q2: 香典はいただいても良いのでしょうか?
A2: はい、遠方から来られない方や、ご厚志を示したい方からいただくことがあります。その場合、後日、香典返し(返礼品)を送るのがマナーです。いただいた金額の半額から3分の1程度を目安に品物を選びます。
Q3: 服装について、最近の傾向は?
A3: 最近は、遺族も参列者も略礼服で執り行うことが多くなっています。男性はダークスーツ、女性は黒やグレー、地味な色のスーツやワンピースが一般的です。正式な喪服でなくても構いません。ただし、派手な色やデザインは避けましょう。
Q4: 当日、喪主や家族は何をすれば?
A4: 喪主はご挨拶、僧侶へのお布施渡し、弔問客への対応が主な役割です。他の家族は受付や案内、参列者への気配りなどを手分けして担当します。葬儀社のスタッフが細かく指示してくれるので、安心して任せましょう。
Q5: 生前から準備できることは?
A5: 終活の一環として、自身の葬儀の希望(家族葬にしてほしい、音楽を流してほしいなど)を「エンディングノート」に記しておくことが最も有効です。また、葬儀費用としての生命保険や生前契約を検討する方法もあります。
まとめ
家族葬は、大切な人を静かに、心を込めて送り出すのに適した形式です。しかし、その準備には多くの決断と作業が必要となります。この記事が、皆様が悲しみの中でも、故人に最適なお別れを実現するための一助となれば、これ以上の喜びはありません。何よりも、信頼できる葬儀社とよく相談し、ご家族の気持ちに沿った葬儀をお選びになることをお勧めします。