1.“髪質改善”って何?その定義とポイント
● 定義と捉え方
「髪質改善」とは、単に「見た目がキレイになる」ことだけでなく、髪と頭皮の環境を整え、扱いやすく、まとまりのある状態へと近づけることを指します。
ただし、専門家の指摘では「髪を完全に“治す”という科学的な裏付けは限定的である」ことも報告されています。
たとえば、髪は死んだ細胞から構成されており、一度断裂(切れ毛)した部分を内部から完全に“修復”することは不可能という認識も一般的です。
● 髪質改善で意識すべき3つの柱
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頭皮環境の改善:髪は頭皮から生えてくるため、まず頭皮の血行・新陳代謝を整えることが基本です。
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髪(毛髪)そのもののダメージケア:キューティクル(髪の外側のウロコ状構造)や内部のたんぱく質(ケラチン)・CMC(細胞間脂質)がダメージを受けると、パサつき・うねり・切れ毛などにつながります。
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生活習慣・ホームケアの継続性:美容室での“髪質改善メニュー”も重要ですが、それを支える自宅での毎日のケアや習慣が最も長期的な効果を生みます。
2.日本人の髪質と“改善”のカギとなる仕組み
● 日本人女性の髪質に関する研究
国内大手研究によると、40年以上・10万人以上を対象に「しなやかで動きのある美しい髪」の条件を解析しており、たとえば以下のような知見があります:
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内部構造(ケラチン線維・細胞間脂質)の整い具合が髪のまとまり・ツヤに関係する。
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日本人髪の典型的な特性として、比較的細め・クセ・うねりが出やすいなどの傾向があるため、その“扱いやすさ”を上げるアプローチが重要です。
● 髪のダメージが起こるメカニズム
| 項目 | ダメージの原因 | 与える影響 |
|---|---|---|
| 薬剤ダメージ(カラー・パーマ) | キューティクル剥離・内部タンパク質破壊 | 髪の内部がスカスカになり、パサつき・まとまりにくさに |
| 物理的/熱的ダメージ(アイロン・ドライヤー・紫外線) | キューティクルの破損・内部水分流出 | 手触り悪化・ツヤ低下・切れ毛リスクUP |
| 頭皮環境悪化/生活習慣乱れ | 血行不良・栄養不足・ターンオーバー低下 | 生えてくる髪自体が弱くなる・抜け毛や細毛の原因にも |
以上を踏まると、“髪質改善”とは「ダメージを防止・最小化しつつ、頭皮〜毛髪を整え、扱いやすい髪へ変えるプロセス」と捉えるのが現実的です。
3.セルフケアでできる髪質改善ステップ(ホームケア編)
以下は毎日のケアとして実践できる基本ステップです。美容室に通えない時でも、自宅でできることをこつこつ続けることが大切です。
ステップ①:シャンプー・頭皮ケア
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髪を洗う前に、目の粗いブラシ等で前もって絡まりをほぐすのがおすすめ。
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ぬるま湯(38–40℃程度)で髪と頭皮をしっかりすすぎ、汚れと余分な皮脂を落とします。
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シャンプー時は「指の腹を使って」頭皮全体をマッサージするように洗うと、血行促進につながります。
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高級アルコール系・石けん系・アミノ酸系など洗浄成分によって頭皮・髪への負担が異なるため、自分の頭皮・髪質に合ったシャンプーを選びましょう。
ステップ②:インバストリートメント(洗い流すタイプ)
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シャンプー後、タオルドライして髪の水分を軽く取ったら、毛先〜中間部分を中心にトリートメントを使用。頭皮には基本つけません。
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髪を蒸らすために“シャワーキャップ+5〜10分放置”なども有効です。
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洗い流す際は、トリートメント剤が残らないようにしっかりすすぎましょう。
ステップ③:アウトバストリートメント(洗い流さないタイプ)+ドライヤー
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髪が濡れた状態のまま放置するのは、キューティクルが開いたままになりダメージリスクがあります。ドライヤーで根元から乾かすのがおすすめ。
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ドライヤーは髪から20 cm程度離し、熱量を抑えながら使用。仕上げに冷風を数秒当てるとキューティクルが締まり、ツヤアップにつながります。
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洗い流さないトリートメント(ミスト・オイル・クリーム)をタオルドライ後に適量つけ、毛先〜中間を中心に馴染ませると、熱ダメージの予防にも。
ステップ④:生活習慣・頭皮環境の見直し
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髪は食事・睡眠・ストレス・血行など、身体全体の状態と深く関係しています。深夜過ぎの就寝や過度なストレスは、髪の育成環境を悪化させる可能性があります。
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栄養面では、髪の主成分であるケラチン(たんぱく質)・ビタミン・亜鉛などの摂取が推奨されます。
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頭皮マッサージや泡を使った洗髪を通して血行を促進すると、髪の土台である頭皮が整いやすくなります。
表:ホームケアのチェックリスト
| 項目 | 実践ポイント |
|---|---|
| ブラッシング | 髪を洗う前に目の粗いブラシで絡まりをほぐす |
| シャンプー温度・方法 | ぬるま湯+指の腹で頭皮を優しく洗う |
| インバストリートメント | 髪の中間〜毛先に使用、放置時間を設けてから流す |
| アウトバストリートメント+ドライヤー | 髪をタオルで軽く拭き、水分を取り、適量使用+ドライヤーで根元から乾かす+仕上げに冷風 |
| 生活習慣 | 良質な睡眠・バランスの取れた食事・頭皮血行促進を意識 |
4.美容室での“髪質改善メニュー”を受ける前に知っておきたいこと
● メニュー例とその特徴
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「酸熱トリートメント」「酸性ストレート」「水素トリートメント」など、技術・薬剤・機器を使用した施術が増えています。
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ただし、こういった施術でも「完全に元の健康毛へ戻す」「髪の内部から修復する」という過度な期待は避けるべきです。実際には“手触り改善/まとまりアップ”が主な目的となります。
● 施術を選ぶときのポイント
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施術の目的を明確にする:「まとまりが欲しい」「うねりを抑えたい」「ダメージで指通りが悪い」など、ご自身の悩みに合わせて選びましょう。
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担当スタイリスト・カウンセリングを重視:毛髪の状態・過去の施術履歴・希望スタイルをよく相談し、施術内容・薬剤・アフターケアを確認してください。
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ホームケアとの併用を意識:サロン施術だけに頼らず、日常のケアが継続できてこそ効果が維持しやすくなります。
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過度な宣伝・誇張表現に注意:「〇〇で必ず治る」「一回で完全に直る」といった文言は、科学的根拠が十分ではない場合があります。
注意点
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“縮毛矯正”とは異なります。たとえば、グリオキシル酸を用いた“髪質改善”系の施術もありますが、薬剤によっては頭皮・毛髪にストレスとなる恐れもあるため、信頼できるサロンで相談を。
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施術後のアフターケアを怠ると、効果が短期間で薄れてしまうこともあります。必ず担当者からの指示・ホームケアを守りましょう。

5.よくあるQ&A(髪質改善について)
Q1. 「髪質改善」をしたら、もうダメージは出ませんか?
A1. いいえ、完全にダメージが出なくなるわけではありません。施術やケアでダメージを予防・軽減・扱いやすくすることは可能ですが、ヘアカラー・熱・物理的な摩擦・紫外線などは常に髪にストレスを与えるため、継続的なケアと予防が必要です。
Q2. 市販の“髪質改善トリートメント”だけで十分ですか?
A2. 市販トリートメントは「見た目の仕上がり」や「手触りの改善」に有効なケースが多いですが、髪の内部まで完全に治す訳ではありません。また、髪質・頭皮・ダメージの度合いによって必要なケアは異なるため、自分に合った製品選びが大切です。
Q3. サロンの髪質改善メニューは何回ぐらい通えばいい?
A3. 髪の状態や施術内容によって異なりますが、一般的には1回で変化を感じても、2〜3回以上・数ヶ月継続してホームケア併用することが理想的です。根本的に扱いやすい髪を作るには時間が必要だからです。
Q4. 「うねり/くせ毛」も髪質改善で治りますか?
A4. くせ毛・うねりは髪の毛の内部構造(ねじれ・たんぱく質配置)などが関係しており、完全に“真っ直ぐ”になるという訳ではありません。ですが、まとまりが出る・扱いやすくなるという方向には改善が期待できます。施術+ホームケア+使用するアイテムの選び方が鍵です。
Q5. 髪質改善ケアに年齢・髪の量って関係ありますか?
A5. はい。加齢による髪の細化・コシの低下・毛量の減少は多くの方が経験する変化です。頭皮の血流・新陳代謝が落ちることで、髪そのものの“質”が変わってきます。そのため、若い頃のケアを継続すること+年齢に応じた“頭皮ケア”“育毛ケア”も意識することが効果的です。
6.まとめ:継続して“扱いやすくキレイな髪”に近づこう
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「髪質改善=すぐ完全に元通り」にする魔法ではなく、頭皮から髪までの環境を整え、ダメージを最小限にし、扱いやすく・まとまりのある髪に近づけるプロセスです。
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美容室施術とホームケアの両輪が効果を高めます。「1回だけで終わり」ではなく、継続してケアを行うことが鍵です。
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過大な宣伝・“保証”のある表現には注意を。自分の髪・頭皮・生活習慣に合ったケアを選び、丁寧に実践しましょう。
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髪質改善は「今日から明日で劇的変化」というよりも、「今日のケアが明日の髪に効く」積み重ねです。焦らず、自分のペースで守りながら改善していきましょう。
髪のコンディションが気になる場合は、美容師や皮膚科医に相談することも有効な手段です。専門家のアドバイスを受けながら、理想の髪を目指しましょう。
この記事は髪質改善に関心のある読者に、信頼性の高い情報を提供することを目的としています。