🔍 ヒアルロン酸注入とは?美容医療での役割
ヒアルロン酸(正式名称:ヒアルロン酸ナトリウム)は、もともと人間の体内にある保湿成分の一つで、皮膚の真皮層や関節などに多く存在し、水分を保持する役割を担っています。
美容医療におけるヒアルロン酸注入(フィラー)は、この成分を合成したジェル状の製剤を皮膚の下に注入することで、主に以下の効果を目指します。
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シワ・溝の改善:ほうれい線、マリオネットライン、眉間のシワなどを内側から持ち上げ、目立たなくする。
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ボリュームアップ・リフトアップ:頬のこけ、こめかみ、目の下のくぼみなどに注入し、若々しい丸みやハリを取り戻す(ヒアルロン酸リフト)。
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輪郭形成(プチ整形):鼻筋を高くする(隆鼻術)、**顎(あご)**をシャープにする、涙袋を作るなど、顔のパーツの形状を整える。
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注入目的 |
主な注入部位 |
期待できる効果 |
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シワ改善・アンチエイジング |
ほうれい線、眉間、額(おでこ)、目の下 |
溝を埋め、ハリと潤いを与える |
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ボリューム回復 |
頬(チーク)、こめかみ、手の甲 |
こけや凹みを改善し、若々しい丸みを出す |
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パーツ形成(プチ整形) |
鼻、顎(あご)、唇、涙袋 |
鼻筋を整える、口元の印象を変える、目の表情を豊かにする |
💉 日本で使われるヒアルロン酸製剤と厚生労働省承認
ヒアルロン酸製剤には様々な種類があり、硬さや持続期間、架橋(かきょう)の度合い(ヒアルロン酸分子同士の結びつきの強さ)が異なります。注入部位の皮膚の厚さや、求める効果によって、適切な製剤を選ぶ必要があります。
特に重要なのは、「日本の厚生労働省に承認されている製剤かどうか」です。承認製剤は、品質、有効性、安全性について国の厳格な審査をクリアしており、安心して施術を受けるための一つの基準となります。
🛡️ 主な承認・採用製剤例
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製剤名 (メーカー) |
特徴 |
主な適応部位 |
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ジュビダームビスタ® シリーズ (アラガン社) |
日本で唯一、厚生労働省承認を受けている製品群。持続性が高く、種類が豊富。 |
ほうれい線、頬、顎、口唇、目の周り、こめかみなど(各製品で適応が異なる) |
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レスチレン® シリーズ (ガルデルマ社) |
世界的に実績があり、細やかなシワや輪郭形成に適したラインナップがある。 |
シワ全般、目の下、口唇など |
💡注意点
一部のクリニックでは、海外製で国内未承認の製剤を個人輸入して使用している場合があります。これらは必ずしも安全性が低いわけではありませんが、国の承認プロセスを経ていないため、事前に医師からの詳細な説明とリスクの確認が必須です。
💰 知っておきたい料金相場と費用体系(1ccあたりの目安)
ヒアルロン酸注入は自由診療(保険適用外)であり、クリニックや使用する製剤、注入量によって費用は大きく異なります。
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料金体系の確認:多くのクリニックでは「1cc(シリンジ1本)あたり」の価格で提示されます。
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麻酔代・針代:施術費用に麻酔クリームやマイクロカニューレ(内出血しにくい特殊な針)の料金が含まれているか、別途必要かを確認しましょう。
📏 部位別・製剤別の相場目安
| 注入部位 | 注入量目安 (片側/全体) | 1ccあたりの料金相場 (目安) |
| ほうれい線 | 0.5cc~1.0cc (両側) | 20,000円 ~ 80,000円 |
| 涙袋 | 0.1cc~0.3cc (両側) | 10,000円 ~ 50,000円 |
| 顎(あご)・鼻 | 0.5cc~1.0cc | 30,000円 ~ 100,000円 |
| 頬(チーク) | 1.0cc~2.0cc (両側) | 40,000円 ~ 100,000円 |
| 額(おでこ) | 2.0cc~5.0cc | 50,000円 ~ 150,000円 (総額が高くなりやすい) |
※上記はあくまで一般的な相場であり、クリニックや使用製剤によって大きく変動します。高品質で持続性の高いジュビダームビスタ®シリーズなどは、一般的な製剤よりも高額になる傾向があります。
⚠️ 失敗を避ける!ヒアルロン酸注入のリスクと後悔しないための注意点
ヒアルロン酸注入は手軽な施術ですが、「医師の技量」が結果を大きく左右します。以下のリスクと失敗事例を理解し、回避することが極めて重要です。
1. 失敗事例と原因
| 失敗事例 | 原因と特徴 | 回避策 |
| ボコボコ・しこり | 注入層が浅すぎる、または硬すぎる製剤が皮膚表面近くに注入された。 | 経験豊富な医師による、皮膚の層に応じた適切な深さへの注入。 |
| 不自然な膨らみ | 注入量が多すぎる(ヒアルロン酸顔)または、注入部位のバランスが悪い。 | 少量ずつ注入し、鏡を見ながら確認。美的センスのある医師を選ぶ。 |
| チンダル現象 | 製剤が皮膚の浅い層に注入され、光の反射で注入部位が青黒く透けて見える。 | 特に皮膚の薄い目の下では、粒子の細かい製剤を骨膜近くの深い層に正確に注入する。 |
| 血行障害(重篤な合併症) | 誤って血管内に注入され、皮膚の壊死や失明に至る可能性がある。 | 解剖学に精通した医師が、カニューレを使用し、細心の注意を払って施術する。 |
2. 後悔しないための最重要ポイント
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👨⚕️ 医師選びが9割:症例写真を多数公開しており、解剖学的知識と美的センスを兼ね備えた医師を選びましょう。価格の安さだけでクリニックを選ぶのは危険です。
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📝 カウンセリングでの確認事項:
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使用する製剤:名称、特徴、国内承認の有無。
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注入量と費用:必要な量の根拠と、総額費用の確認。
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リスクの説明:血行障害など重篤なリスクを含む、全ての可能性について十分な説明があるか。
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修正の可否:万が一失敗した際、ヒアルロン酸溶解注射(ヒアルロニダーゼ)による修正が可能かどうか。
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🚫 豊胸目的の使用:日本の美容医療関連学会の共同声明などにより、豊胸目的のヒアルロン酸注入は推奨されていません。これは画像診断への影響や修正の困難さが理由です。顔以外の大きな部位への注入は慎重に検討しましょう。
❓ Q&A:ヒアルロン酸注入のよくある質問
Q1: ヒアルロン酸注入の持続期間はどれくらいですか?
A1: 使用する製剤の種類や注入部位、個人の体質によりますが、一般的には6ヶ月〜1年半程度です。持続性の高い製剤(例:ジュビダームビスタ® ボリューマXCなど)は、2年程度効果が持続することもあります。効果を持続させるためには、定期的なメンテナンス注入が必要です。
Q2: 痛みはありますか?
A2: 注入時にチクッとした痛みを感じることがあります。多くのクリニックでは、麻酔クリームの塗布や、製剤自体に**麻酔成分(リドカイン)**が配合されているもの(例:XCシリーズ)を使用することで、痛みを軽減しています。痛みが不安な方は、カウンセリングで麻酔方法について確認しましょう。
Q3: ダウンタイムはありますか?
A3: 注入直後は、腫れや内出血、赤みが出ることがありますが、多くの場合、数日〜1週間程度で治まります。内出血を避けるために、血管を避けて注入するカニューレを使用するクリニックを選ぶと、ダウンタイムを短く抑えられます。
Q4: 施術後に注意することはありますか?
A4: 注入直後は、過度な飲酒や激しい運動、長時間の入浴(サウナ含む)など、血行が良くなる行為は内出血や腫れを悪化させる可能性があるため、24時間〜数日間は控えましょう。また、注入部位を強く揉んだり圧迫したりしないように注意が必要です。
結論:信頼できるクリニックで安心のヒアルロン酸注入を
ヒアルロン酸注入は、若返りやプチ整形として高い満足度を得られる施術ですが、その成功は医師の技術とクリニックの体制にかかっています。
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✅ 国内承認製剤の採用実績があるか。
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✅ 症例数と医師の経験が豊富か。
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✅ リスクやアフターフォローについて、丁寧な説明があるか。
これらの点を総合的に判断し、価格競争に惑わされず、信頼できるパートナー(クリニック)を見つけることが、満足のいく結果への近道です。
【重要なお知らせとご注意】
本記事は、日本のヒアルロン酸注入に関する一般的な情報提供を目的として作成されたものです。医療行為に関する個別の効果、安全性、リスク、および費用については、患者様個人の状態や選択されるクリニック、医師の判断により大きく異なります。