1.ヒアルロン酸とは?~基礎知識~

まずは、ヒアルロン酸(Hyaluronic Acid、HA)について理解を深めましょう。
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ヒアルロン酸は、私たちの肌・関節・眼などに元から存在するゼリー状の保水成分です。1gで約6リットルの水分を蓄えられるとも言われています。
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年齢とともに体内のヒアルロン酸量は減少し、肌のハリ・弾力が落ちて「しわ・たるみ」が顕在化しやすくなります。
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美容医療では、このヒアルロン酸を“注射”という手法で、気になる部位に補充・注入して、しわ・くぼみ・輪郭の形成・ボリュームアップを図ることがあります。
2.日本でのヒアルロン酸注射:概要とポイント
(1)どんな施術?
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クリニックで「注射器」を用いて、しわ・たるみ・くぼみ・輪郭を整えたい部位にヒアルロン酸を注入する施術です。
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注入する製剤(ヒアルロン酸の種類・硬さ・量)によって、効果の出方・持続期間・仕上がりの自然さが変わります。
(2)どんな効果がある?
以下が代表的な効果です:
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しわ・たるみ・凹みの改善(例えば、ほうれい線・目の下・口元)
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輪郭形成(顎・鼻・こめかみ・フェイスライン)
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ボリュームアップ・若々しさの演出(唇・涙袋など)
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ダウンタイムが比較的短く、施術時間も短めというメリットがあります。
(3)注意すべきポイント(リスク・デメリット)
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効果は“永久”ではなく、時間経過とともにヒアルロン酸は吸収されていきます。
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注入後、内出血・腫れ・むくみ・赤みといった症状が出る可能性があります。
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注入箇所・製剤・医師の技術などによって「不自然な仕上がり」になったり、左右差・しこりができたりするリスクもあるため、信頼できるクリニック・医師選びが重要です。
(4)施術の流れ・ポイント
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カウンセリング:どこをどう変えたいか、仕上がりのイメージを確認します。
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製剤選択・部位の設計:硬さ・量・注入層を決定します。
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注入施術:数分〜30分程度で終わることもあります。
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施術後:直後の腫れ・内出血に注意。マッサージ・強く押すなどは避けた方がいいです。
3.部位別のポイントまとめ
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部位 |
目的・特徴 |
製剤・量の目安・注意点 |
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目の下/涙袋 |
クマやたるみの影を軽減、若々しい印象に。涙袋形成も可能。 |
柔らかめの製剤が多く、片側0.3〜0.5cc程度が一例。皮膚が薄いため、しこり・凸凹に注意。 |
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ほうれい線(鼻唇溝) |
深めのしわや溝をボリュームで改善し、印象を若く。 |
片側0.3〜0.8cc程度が目安。周囲の頬・口元のバランスも考える。 |
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鼻/額/こめかみ |
輪郭を整えたり、立体感を出したり。鼻筋・おでこの丸み・こめかみの凹み改善など。 |
比較的硬めの製剤を使う場合が多く、1.0〜2.0cc程度(広範囲の場合)を要することあり。 |
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顎/フェイスライン |
下顔面の印象を引き締め、Eライン・横顔を整える。 |
硬めの製剤・0.5〜1.5cc程度が目安。咬み合わせ・肌のたるみも考慮する。 |
4.費用・持続期間・クリニック選びのポイント
費用について
日本ではクリニック・製剤・注入量・部位によって大きく異なります。例えば “自由診療”として1本(1cc)数万円〜十数万円というケースもあります。
※施術前に「どの製剤を」「どれだけ」「どこに」注入するかを明示してもらうことが重要です。
持続期間について
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製剤の硬さ・架橋(ヒアルロン酸同士の結びつき)により持続期間は変わります。
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一般的に “数か月〜1年以上”がひとつの目安ですが、必ずしもその期間を保証するものではありません。
クリニック・医師の選び方
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医師の経験・症例数・注入技術が重要です。
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製剤の種類・安全性・アフターケア体制も確認しましょう。
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カウンセリング時に「希望の仕上がり」「リスク」「ダウンタイム」「費用」の説明をきちんと受けましょう。
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施術後のトラブル(しこり/左右差/感染)への対応についても確認しておくと安心です。
5.よくある質問(Q&A)
Q1.痛みはどれくらい?
A:多くのクリニックでは麻酔クリームや極細針を併用していますので、比較的痛みが少ないとされています。
ただし、部位(鼻・骨上など)や個人の痛みの感じ方によって異なりますので、不安な方はカウンセリング時に確認を。
Q2.施術後すぐに普通の生活に戻れますか?
A:はい、日常生活への影響は比較的少ないですが、以下の点を注意してください:
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注入直後は軽い腫れ・赤み・内出血が出ることがあります。
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注入後数日間は、注入部位を強く揉んだりマッサージしたりするのは避けましょう。製剤のズレや定着不良の原因になることがあります。
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重要なイベント直前(結婚式・撮影など)は、余裕を持ったスケジュールがおすすめです。
Q3.どれくらい持ちますか?
A:製剤・部位・量・個人差によって異なりますが、数か月〜1年以上というのが一般的な目安です。
ただし「永久に消えない」という保証ではありません。再注入が必要になる場合もあります。
Q4.副作用やリスクはありますか?
A:はい。主なものには以下があります:
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内出血・腫れ・むくみ・赤み(数日〜2週間程度で収まる例が多い)
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注入量・部位・製剤・技術によっては「しこり」「凹凸」「左右差」が出る可能性があります。
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非常にまれですが、血管内注入・感染・視力障害など重篤な合併症のリスクも報告されています。医師・クリニックに十分確認を。
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注入後のケア(マッサージ・強く押す等)を誤ると、定着が悪くなることがあります。
Q5.年齢に関係ありますか?若い人でもできますか?
A:はい、年齢を問わず適用になるケースがあります。若い方では「輪郭を整えたい」「ボリュームアップしたい」「部分的なしわを予防的に少量入れたい」といったニーズがあります。ただし「なりたいイメージ」「適切な部位」「量」を医師と共有することが大切です。
6.まとめ&ポイントチェック
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ヒアルロン酸注射は、比較的手軽に“しわ・たるみ・輪郭”を整えられる美容医療の選択肢の一つです。
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ただし「誰でもすべての悩みを完全に消せる」「永久に維持できる」というわけではありません。施術前に効果・持続・リスクをよく理解しましょう。
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安全・満足できる仕上がりのためには、 信頼できるクリニック・医師選び+自分の希望を明確にするカウンセリング が鍵です。
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施術後のケア(部位を触らない、マッサージを避ける、イベント直前の施術は慎重に)も意識すると、仕上がり・定着に好影響です。
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実績ある製剤・適切な量・適切な部位選びにより、「自然でバランスの良い」仕上がりを目指せます。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の治療を推奨するものではありません。実際に治療を受ける際は、必ず医師と直接カウンセリングを行い、ご自身の責任で判断してください。